05:神のくせして完全ワンちゃんやで…
外園昌也さんの『犬神-改』を途中まで読みました!
初めて『犬神 』 を読んだのは、小学生か中学生の頃。
駅のそばの本屋が、立ち読み防止のビニールつけてない本屋さんでね(そもそも当時はそんなものなかったかも…)
そこで全巻立ち読みしました。
ストーリーは全然覚えてないんだけど、立ち読みで読破してやったぜー!みたいな、妙な達成感だけはやたら覚えてる(笑)
電子書籍版が出てるって知って、懐かしくなって改めて読んでみた。
まだ途中までしか入手してないんで、その途中までの感想をば。
主人公の史樹(ふみき)君は高校3年生で、ちょっと迷走中の男の子。
受験を控えてるんだけど、あんまり身が入らなくて
「詩人になりたい、さもなくば死にたい」
とか言っちゃってる子。
うーむ。若いね。
そんな史樹が現実逃避の場としていた廃工場で、彼は23と出会う。
23。果たしてそれはなんなのか。
見た目は大型の犬であり、日本狼によく似ている。
しかし高い知能を持ち、人語を理解して操り、瀕死の重傷も自然治癒し、身体から鋭利な角を生やして攻撃することもできる。
人知を超えた、未知の存在。
耳に23という数字が刻まれており、史樹はその犬に見える何かを23と名付け、廃工場で彼と友情を育んでいく。
そこに23を犬神だと言って探す謎の勢力が現れたり、23の仲間と思しき犬神が現れたりして、史樹と23を騒動に巻き込んで行く。
…と。ここまで書いて気がついたけど、『寄生獣』とよく似たタイプの作品だなぁ。
『犬神』の連載開始よりも前に『寄生獣』は完結しているようですが、両方同じアフタヌーンで連載されてたそう。
未知の生命体との交流を描いた作品である点、
その生命体の名付けの安直さ(右手でミギーに、そのまんまの23)、
未知の生命体が人類を裁くという点(寄生獣は裁きとはいえないけど、人間を捕食する。犬神は「人間を見る」ために遣わされた存在)
そして肉体を変形させた武器を使うという攻撃方法…
うーん。よく似てる。
ただ大きく違う点は、主人公と未知の生物の関わり方。
『寄生獣』では、ミギーはもともと新一に取り憑いて人間に擬態し、人間を食べようとしていたわけで…本来、ミギーにとって人間は捕食対象なのである。
だけど、彼は新一の乗っ取りに失敗したことで、新一の体の一部(右手部分)に居候することになる。
だから信一との関係は、友情というよりむしろ共生関係であり、利用し利用される、割とドライな関係。
『犬神』の史樹と23は全く違う。彼らは友達で、そこになんら利害関係はない。
彼らは損得なしにお互いを求めてるし、あらゆるものを投げうって相手を助けようとする。
しかも23の見た目がね、犬だからね。
23の振る舞いは忠犬の行いのようにも見えてしまうし、そこがまた『寄生獣』とは違う温かみを感じさせる要因だと思う。
完璧に犬やな。
え?犬に見えない?
それは画力の問題ですね。
ハッピーのくだりは思わず涙(´;ω;`)ウルウル
家族と幸せに暮らしてたのに、研究所に拉致られて、犬神の細胞を植え付けられたハッピー。
見た目も怪物に成り果て、空気感染性のウィルスを撒き散らし、人を殺しまくったハッピー。
でも幸せだったあのお家に、ただ帰りたくて帰りたくて…さまよい歩く姿はあまりにも健気で、涙を誘いました。
しかし昔読んだくせに続きを全く思い出せないんだよなぁ。
初読のような新鮮な気持ちで続きを読みたいと思います。
どうか23と史樹の結末が、ハッピーとその家族のような、悲しい結末でありませんように。